お彼岸は香りに思いをのせて | BOTANICAL LIFE TIPS
  • 2019/09/19

    お彼岸は香りに思いをのせて

    9月20日から26日は秋のお彼岸です。ご先祖様や親しい方のご供養に、お墓まいりをされる方も多いでしょう。
    やむをえず遠方から手を合わせるだけでも、心は伝えられるはず。
    そんな時には少しだけ、香りの力を借りてみてはいかがでしょう。

    洋の東西を問わず、ご供養にはそれぞれのしきたりがあります。
    宗派による違いはありますが、お坊さまは法要の際に粉末のお香を体につけるそうです。
    これはお香で身を清め、魔を遠ざける意味もあるとか。
    お香の歴史は仏教伝来時に遡り、香り高い香木を原料としました。
    後世になるとお香はさまざまな植物から作られるようになり、香りを楽しむ文化が生まれました。

    現在親しまれているお香にもさまざまなものがありますが、中でも「樒」(しきみ)で作られたお香は昔から、仏事をはじめ、お祓いにも使われてきたそうです。
    「樒」は、シキミ科の常緑樹で、温暖な地方に自生し、全体から良い香りを放つ植物です。
    葉、枝、実にいたるあらゆる部位に毒性があり、実はハッカクや椎の実と間違われ知らずに食べて中毒症状を起こしたり、時には命を落とす人もいたようです。
    そのため「悪しき実」と呼ばれ、それが短くなってシキミという名がついたという説も。
    墓地に植えられることも多いですが、それはこの植物の香りが虫や獣を避けることから、魔を避け、ひいては仏を餓鬼から守るとされたことによるそうです。
    お祓いに使われてきたのもうなずけますね。

    天然のしきみ香は奥三河地方の特産品で、ごくわずかな生産者のもとで今も手作りされています。
    原料のシキミの葉を摘み取り、乾燥させ粉にして、松ヤニと混ぜ合わせて成型するという生産工程は大変手間がかかり、大量生産できないためお値段は高め。
    有毒性の植物が原料ですが、時折お線香に火を灯すくらいなら心配はないでしょう。
    むしろ爽やかな香りは森林浴をしているような心地よさが味わえ、心にモヤモヤがあるときや、場の空気を浄化したいときなどにおすすめです。

    お彼岸に墓前へシキミの枝をお供えするのが難しいときは、1本のしきみ香を燻らせて、彼岸の方角といわれる西に向かって手を合わせてみてはいかがでしょう。
    大切な人への思いも香りに乗って、きっとあちらへ届くはず…


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